新田美波「わたしの弟が、亜人……?」
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122: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/03/24(金) 22:37:23.20 ID:NJ9NkxEDO


慧理子「きゃ、あああ、あ!」


痙攣の回数が増え、光のない黒い瞳孔が拡大する様子を慧理子が見てしまう前に美波は妹にむかって飛びついて腕を回した。腕を交差させて慧理子を胸元できつく抱きしめると、ヘルメットのように背中を丸め、慧理子の視界を覆った。

病室入口の扉の右側にいた警官の身体が縦に割れたかと思うと、次の瞬間には三本の横線を入られていた。同僚の肉体が六つの肉の塊になって床に落ちる音も聞かないうちに、残ったもうひとりの警官はようやく自分に迫ってくる黒い幽霊が見えた。彼はその幽霊が殺戮を引き起こしたと理解する時間もなく壁に磔にされて死んだ。後趾にあたる短い爪が、胸の下と頭頂部に突き刺さっていた。

美波は慧理子の連続した浅い呼吸を胸に感じながら、塊が床に落ちる音を聞いた。音がした瞬間から部屋の中に漂う血の臭いがさらに濃くなり、美波は吐き気を抑えるため頬の内側を血が出ても噛み続けた。過呼吸気味の口の動きにあわせて歯がかちかち鳴り、呼気に恐怖が混じった。美波は勇気を振り絞り顔をあげた。窓にかかるレースカーテンが風に浮き光が差し込んできた。窓から外の景色が見えた。

背後で床に飛び散った液体を踏むぴちゃり、という音がしたとき、美波は本能的に窓へ走った。左腕を慧理子の右肩から太腿の下にまわし、妹を抱き上げとにかくこの部屋から脱出しようとする。

上半身をあげた瞬間、美波の側頭部が打たれた。美波は壁に向かって跳ね飛び、壁に額をぶつけると、身体が壁に沿ってずるずる滑り落ちていった。気絶した美波が床に落ちたとき、美波の頭がかくんと傾いてベットの影に隠れた。



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