115: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/03/24(金) 22:25:27.77 ID:NJ9NkxEDO
律『そもそも私が政府が信用ならないと考える理由も、証拠というほど確固したものではないから。あなたは亜人管理委員会の言いなりなったわけじゃなくて、自分で考えて行動したんでしょう?』
美波はすこし迷ってから「うん」、と答えた。
律『だったらいまのままでいなさい。自信を持てとも後悔するなともいえないけど、あなたはいまも圭のためを思って行動してる。それだけはしっかり憶えておきなさい』
美波はひとつ鼻をすすりひと呼吸おいてから、ちいさくささやくようにまた「うん」と言った。病院に向かう車に揺られながら、美波は窓に目をやった。街路樹の葉の光があたっている部分の照り返しと陽射しによってできた影の部分が、明暗をはっきりしながら窓に映っては後方に流れていった。目に映る光景にシャーっという音が重なる。耳にあてたスマートフォンから聞こえてきたその音は、おそらくカーテンレールが引かれる音で、美波は窓の外に視線を向ける義母を思い浮かべながら、「やっぱり、いっぱいいる?」と尋ねた。「ええ」という律の声が電話口から聞こえた。美波はなんとなく義母がうなずきながら「ええ」言ったのだと感じた。
美波「いま慧理ちゃんのところにむかってるんだけど、体調は大丈夫なの?」
美波がこの質問をしたとき、車が見覚えのある道に入った。窓から景色を見ると、はっきりと言語化されない日常化した馴染みの感覚が美波のなかに起こった。
律『今朝病院に電話して聞いたけど、いつもと変わりないそうよ』
美波「圭のこと、なにかいってた?」
律『いいえ』
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