113: ◆8zklXZsAwY[saga]
2017/03/24(金) 22:22:35.50 ID:NJ9NkxEDO
下村「それは、あなたが永井圭の妹だからです。慧理子さん」
誰に向けられたわけでもない慧理子のつぶやきを下村は聞き取っていた。聴取の理由をはっきりと突きつけられた慧理子はばつが悪そうに押し黙った。美波は唇を結ぶ慧理子にすこし顔を寄せて語りかけた。
美波「すこし話をすればすぐにすむから、ね?」
下村「療養中のところ、申し訳ないとは……」
慧理子「キモイ」
自分をなだめようとする美波や下村へというよりは、兄との記憶に向かって、慧理子ははき捨てるように嫌悪をぶつけた。
慧理子「自分を人間だとカンチガイしてたやつが、家族にいたなんて……キモすぎる」
美波「慧理子!!」
さっき妹にした注意も忘れ、美波は怒鳴った。
美波「自分がなにを言ってるのかわかってるの?」
刺すような厳しい視線が慧理子に向けられた。慧理子は姉の激昂に一瞬びくっと身体を震わせながらも、言い返すことをやめなかった。
慧理子「姉さんだって兄さんのせいで大変な目にあってるじゃない!」
美波「それとこれとは……」
慧理子「ほんとに!? このせいでアイドルを続けられなくなってもほんとにそう思う?」
美波は言葉を続けることができなかったが、慧理子に向ける視線だけは維持していた。自分でもそれはするべきでないとわかっていたが視線を下ろすことができない。慧理子も黙りこみ、シーツの上に置かれる自分の手を見つめている。職務としてここにいる警官たちも当然口を挟めない。病室は気まずい沈黙の場所になっていた。
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