104:名無しNIPPER[sage]
2017/06/30(金) 22:19:30.26 ID:vG2Ragdn0
「……」
「そんな汚物が『協力してくれ』って言って、『はい喜んで』と私たちが言うと思う?」
茶髪はこぼれた水を布巾で拭き取る。
男は淀んだ目で言う。
「それでもたのむ」
金髪はタバコをくわえながら、少女に続いて男に諭すように言う。
「わかった。また何時もの死にたいってワガママでしょ?」
「ちがう」
「はいはい分かった。私はあなたに死んでほしくないから嫌」
布巾をテーブルの脇に置いた茶髪も、男に言う。
「貴方に死なれると困るので」
男は目を閉じる。
それから、口を開いた。
「ちがうんだ」
「それが何?」
すっぱりと少女が言う。
彼女はテーブルに身を乗り出して、男の無精髭を厭わず彼の顎をつかんだ。
「泥酔してる蕩けた頭でもわかるように言うわ。
お前は死んだの。
今更何?協力して何がしたいわけ?」
「…」
「復讐した、金も稼いだ。これ以上何が欲しいの?」
「…」
「違う?
やる事なくて女をはべらせて、
タバコふかして日がな一日朝から酒飲んで、
毎晩毎晩女と寝て「人生下らねえ、死にたい死にたい」って言って、
泥酔していられるこの状況を終わらせたいってこと?」
ギリギリと少女は男を締め上げる。
男は酔ったままだが、少女の目を見て言う。
「それでも…やることがある」
「どういうこと?」
茶髪が食いついた。
金髪も灰皿にタバコを置くと、男を見る。
男は少女の手を払うと言った。
「おれのあと釜が船ごと沈められた。おれたちも狙われるかもしれない」
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