京太郎「俺たちの……」マホ「可能性……?」
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84: ◆3em28n6/NM[saga]
2016/12/23(金) 20:10:28.49 ID:XqFL71BI0
――――

京太郎(誰か……居る?)

牌を切る直前、京太郎は確かに聞いた。声にならない声、誰かが『それは駄目だ』と息を飲む音を。

京太郎「咲……?」

振り返ると、いつ来たのか咲が居た。咲だけではなく、久やまこ、優希、それに純や透華たちも京太郎を見ていた。

京太郎(皆に見られてるのに……気付かなかったのか、全然)

自分がどれだけ余裕を失っていたか、京太郎は気付く。そして改めて自分が手に持つ牌を確認し――

京太郎「……っ!?」

気付く。――自分が、確実に死に向かって歩いていた事に。

京太郎(何考えてんだ俺は!こいつだけは切っちゃいけないだろ!?)

――四萬。今まさに、上家の和が切った牌。
京太郎の手牌において、唯一の完全な安牌。しかし――

京太郎(これを切ったら、俺の手はニ向聴になる!
あと一巡で流局になるこの状況で手を崩したら、流局した時に俺が張っている可能性は限りなくゼロに近くなる……)

このまま副露が無ければ、京太郎のツモは残り一回。
そしてニ向聴というのは文字通り、有効牌を二枚引き入れないとテンパイ出来ない状態なのだ。

京太郎(今の俺はノーテン罰府で飛ぶ、そんなことは分かってただろ!
誰かが張ってるとしたら、振り込んでもノーテンになっても同じ事だったんだ……!)

『振り込む事を恐れるあまり、弱気になっていません?』

透華の言葉を思い出す。

京太郎(弱気……俺は今、文字通り気持ちの面でも完全に負けていた。だけど、それだけは負けちゃいけなかったんだ!)

キッ、と対面を鋭く睨む。

衣「……ほう……」

京太郎(強く……!)

衣「そうだ……その顔だ。漸く面白くなってきた!」

その言葉に背中を押されるように、京太郎は――


十七回目のツモ切りをした。


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