83: ◆3em28n6/NM[saga]
2016/12/23(金) 20:09:13.40 ID:XqFL71BI0
――――
一(須賀君……配牌からずっとツモ切りしかしてない……)
と言っても、それは一もほぼ変わらないのだが。
京太郎「……はぁ、はぁ……」
肩で息をする京太郎。かつて一が味わった絶望が、そこには有った。
一(これが天江衣、これこそが『支配』……。須賀君……今にも折れてしまいそうだ)チャッ
さっきの和のポンから、京太郎の様子は明らかに振り込みへの恐怖を増大させていた。
一(しかも、今のポン……これで衣に海底牌が回る事になった)チラッ
衣「……」
一(鳴いてズラす事も、出来そうにない……もう十巡目なのに)
そして、海の底が見えてくる――。
――――
十五巡目
京太郎(このままじゃ……ノーテン罰府で飛んじまう……)
だが、それ以上に今の京太郎を襲っていたのは、振り込みへの恐怖だった。
京太郎(流局間際のこの巡目まで、本当にツモ切りしかしてない……。
これが天江さんの力に依るものなら、狙われているはずの俺は、ツモ切りを続けたら絶対に振り込む事になる……っ!)
しかし、今のツモ牌は衣と一に対しては現物。
京太郎(結局、ツモ切りしかないのか……)つ西
一「……」つ九筒
衣「……」つニ索
和「……」つ四萬
京太郎(また……俺のツモか……)
山に手を伸ばす。……牌を持った瞬間、微かな予感。
京太郎(――!ついに、引いちまったか……)チャッ
生牌の白――しかも、ドラ。
京太郎(絶対に……天江さんは張ってる。捨て牌を見る限り、恐らく筒子の染め手……)
衣だけでは無い。和と一も、打点次第では京太郎から出和了る可能性がある。
京太郎(そう、打点次第……ドラなんか、特に狙い目だ!こんなの、掴まされたようなものじゃないか……)
死の息吹を間近に感じる。意識が朦朧としてきた。もう、早く切ってこの場から逃げ出したい。
迷いの末、京太郎は手牌の一枚をつまみ上げ――
「……っ!」
手を、止めた。
360Res/314.97 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20