296: ◆3em28n6/NM[sage saga]
2017/12/31(日) 23:17:53.24 ID:tgL1bz3k0
――――
様々な思いを乗せた勝負は、しかし――綺麗な終わりを迎えることはなかった。
桃子(一萬……いらないっすね)タン
ドラ。誰に対しても危険すぎる牌だが、桃子には関係無い――そのはずだった。
マホ「チー!」バラッ
桃子「――えっ?」ユラッ
マホの手が、その牌を――存在しないはずの牌を、掴みかける。そして――
「あっ、待て!」
バラッ
智美「ロ、ロン!国士無双……48000!」
……。
桃子(え?)
沈黙。役満で一発逆転という、劇的な終結に――誰も、反応しない。
桃子(……振り込んだ?私が……)
何が起こったのか。和了った智美も含む全員が混乱していた。
睦月「あの……一つ、良いですか?」
静寂を破ったのは、睦月の声。
智美「……あっ、はい。なんだ?」
睦月「その、『見えた』んですか?」
やはり、役満に対する驚きは無い。睦月は視点を何度か変えながら観戦していたので、智美の手牌も見たのだろう。
睦月「……変なことを聞いてしまったな。和了ったんだから、見えてたのは当然ですね」
智美「いや……ついさっきまで、正直モモのことは……見失ってた、けど……」
茫洋とした目が、マホを捉える。
マホ「え、マホ……ですか?」
智美「うん。マホのチーで、見つけたんだ……」
佳織「マホちゃんがチーしたから、桃子さんが見えた?」
怪訝な顔をする佳織。
智美「モモが……というより、その、牌が?かな」
ゆみ「……恐らく、夢乃の鳴きで、本来なら見えないモモの牌に意識がいったんだろう」
桃子「そんなことが、あるっすね……でも、なんで……あなたは『見えた』んすか?」
今度は、全員がマホに注目し――
マホ「ご、ごめんなさい……マホにも、分からない……です」
――結局、しばらく落ち着くまで事の真相は分からなかった。
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