297: ◆3em28n6/NM[sage saga]
2017/12/31(日) 23:19:14.14 ID:tgL1bz3k0
――――
京太郎「マホちゃんの話を総合すると……染谷先輩の真似で卓に集中することで、
和と同じように、東横さんの影響を受けなくした。だから最後の局、東横さんの牌を鳴けた」
マホ「はい……そうみたいです」
京太郎「でも、鳴いたことで蒲原さんがあの一萬に気付いた。ロンは鳴きより優先されるから、後追いで和了られた、と」
マホ「……マホ、どうすれば勝てたんでしょうね」
京太郎「……あとで牌譜を見ながら考えればいい。今は、自分の頑張りを褒めてあげろ」
ぽん、と頭に手を乗せる京太郎。
京太郎「東横さんは、見えたんだろ?一時的にとはいえ」
マホ「はい」
京太郎「なら、その部分では勝ったじゃん。妹尾さんや蒲原さんは、自力では見えなかったんだしさ」
やや無理のある励ましだが、
マホ「先輩……ありがとうございます」
気持ちは切り替えられた。
京太郎「それじゃ……次は、俺が行こうかな」
立ち上がり、卓を見る京太郎。冷房は効いているが、その顔には汗が浮いていた。
マホ「……先輩も、東横さんの対策は考えたって言ってましたけど……」
今朝会った時から一度も手放さず、握りしめていたメモ。
マホ「そのメモ、どんなことが書いてあるんですか?」
もうマホの勝負は終わった。今なら聞いてもいい……そう思っての質問だった。しかし――
京太郎「っ!」サッ
マホ「?」
あからさまに左手を隠し、マホの怪訝そうな様子を見て、しまったという顔をする。
マホ「……先輩?」
京太郎「えっと、その……これは俺流というか。普通とはちょっと違うから……」
何故か目を合わせようとしない京太郎。
京太郎「ほら、前に約束しただろ?俺の真似はしないって。まだこれが正解かどうか分からないし……だから今は……」
マホ「……」
京太郎「……ごめん。秘密だ」
マホ「……」
息をゆっくり吸い込んで、止める。何を言いかけたのか、マホ自身分からなかったが――
マホ「……いってらっしゃい、です」
京太郎「……うん、行ってくる。次は、勝ってくるから」
呑み込んだ思いは、そのまま消えてしまった。
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