勇者「救いたければ手を汚せ」 
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645:名無しNIPPER[saga]
2017/02/25(土) 00:56:51.82 ID:ptB8pPTxO

月は過ぎ去り、夜明けが近付いていた。

時期は真冬、本来であれば朝日など拝めるはずもない。だが、告げを信じる彼等彼女等には確信があった。

より厳密に言うならば、見えていた。瞑目しながらにして見えていた。

幾百幾千幾万、それ以上の願いが光の粒となり彼を包み込む様が見えたのである。

それは輝きの繭のようであり、揺り篭のようでもあり、母胎のようでもあった。

光の内側も光に溢れ、その姿は母の海で眠る赤子のようにも見えた。

ゆららかな黒髪は輝く銀髪へと変わり、数多の戦によって刻まれた傷痕は跡形もなく消えた。

願いのままに、想いのままに、彼は成る。

皆が母であり、皆が父であった。

望まれし者、望まれるままにある者は、母胎、形無き願いによって新たな肉体を得たのである。

いつしか願いは愛へ変わり、愛は存在へ変わり、存在は奇跡となった。



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