勇者「救いたければ手を汚せ」 
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644:名無しNIPPER[saga]
2017/02/25(土) 00:54:48.99 ID:ptB8pPTxO

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静寂と灯りがあった。

聖堂からは元素を含めた魔術に関連付けらる一切が廃されており、光源は揺らめく蝋燭の炎のみ。

集った数百人の信者は一様に跪き、瞑目し、栄光と導き、その顕れを祈っている。

教皇、枢機卿、司教といった者も例外ではない。

祈りの先にある者は蓮華を象った台座にあり、その身に彼等彼女等の祈りを一身に受けている。

断続的な地響きと吹き荒れる風が硝子窓を鳴らしたが、怖れを感じる者はなかった。

ただひたすらに静寂を貫き、ただひたすらに顕れを待ち、ただひたすらに願った。

長時間に渡り膝を突いていた為に膝から血を滲ませる者もいたが、意に介した様子はない。

教皇は予め信者の体調を考慮し、祈りは強制ではないとしていたが、聖堂から去る者はなかった。

一つたりとも願いの灯火は欠けることはなく、静寂の時だけが流れるのみである。

燭台の蝋燭が四度入れ替えられた頃には、地響きは収まり、荒ぶる吹雪も止んでいた。



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