勇者「救いたければ手を汚せ」 
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217:名無しNIPPER[saga]
2016/12/20(火) 00:48:12.34 ID:vYhwAq/BO

「……分かってる」

(命にも優先順位がある。誰も彼も救おうなんて考える奴の方がイカレてるんだ)

(窮地を乗り越え、皆で力を合わせて逆転勝利なんてのは有り得ない)

(まして全員助かるなんて無理だ。必ず誰かが死ぬ)

道化師は『必ず死ぬ誰か』にならぬ為、娼館主の手を引いて梯子へと直走る。

背後では未だ銃声が鳴り響いているが、彼等がやられれば次は自分達だ。

あの銃声が止む前に梯子に辿り着き、重い石蓋を開けなければならない。

(もう少しだ)

その時、娼館主の身体がぐらりと揺れた。

体当たりで突き飛ばされたかのように身体が大きく傾き、どさりと倒れた。

(……何が、起きたんだ)

彼女の右腕には穴が空いており、背中は横一文字に切り裂かれている。

幸いにも背中の傷は深くはないようだが彼女は気を失っており、ぴくりとも動かない。

原因を探るべく辺りを見渡すと、先程オークが出てきた穴の奥で槍先が輝いた。



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