191:名無しNIPPER[saga]
2016/12/16(金) 02:05:30.10 ID:NG5ps7hHO
獲物を前にぎらつく瞳。
ぞろりと並ぶ黄ばんだ歯は、鑢で研いだように尖っている。
化け物は頬を引き攣らせ、手にした鋸をゆっくりと持ち上げた。
その姿を見て怖れは増したが、怒りが収まることはなかった。
「楽に死ねると思うな」
自分の声とは思えぬほど冷たい声に一瞬驚いたが、彼女の覚悟が揺らぐことはない。
彼女はオークを睨みつけ、固く握った拳を開くと血に染まった床に思い切り叩き付けた。
油断しきっているオークの足下、重篤患者用の陣を最大出力で展開する為に。
見る間に輝きを増すそれに危険を感じたのか、慌てて鋸を振り下ろそうとするも間に合わない。
血によって完全に隠れた重篤患者用元素供給陣が起動し、床から昇った稲妻の如き元素が貫いた。
天井と床の間に吊されたような状態で、オークは声なき絶叫を繰り返す。
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