189:名無しNIPPER[saga]
2016/12/16(金) 02:00:21.11 ID:NG5ps7hHO
(惨い、惨すぎる……)
遺体は寝たままの状態だ。きっと何の抵抗も出来ないまま殺されたのだ。
抵抗したとしても敵うはずはない。奴等は、こんな弱者さえも殺すというのか。
いや、きっと動けようが動けまいが関係ない。命あるものすべてが殺害対象なのだ。
あの化け物共は兵士も患者も区別なく、生きていれば誰であろうが殺すだろう。
殺すために生き、殺しを愉しむ生物。彼女の亡骸を見て、治癒師は確信した。
「いた 雌一匹いた」
背筋を這うような声に脈が跳ね上がる。
照明も破壊されているため顔は見えないが、嗤っているに違いない。
全体像より先に見えたのは鋸だった。べとついた赤が山なりの突起を伝っている。
鋸から滴る血が床に落ちたが染める余白はない。彼女の血が、既に床一面を染め上げている。
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