186:名無しNIPPER[saga]
2016/12/16(金) 01:55:23.44 ID:NG5ps7hHO
(お婆さんまで……)
この病室にいたのは、もうじき退院予定の老婆だったことを思い出す。
確か、背骨を痛めて入院したはすだ。
柔和な笑みが特徴的で、「いつもありがとう」と言って何度か菓子を手渡されたことがある。
患者でありながら医師を気遣う心優しい女性。
男性しかいない職場の中で、彼女の存在はとても大きかった。
ただでさえ肩身が狭かったというのに、新薬の開発以後は更に風当たりが強くなった。
露骨に嫉妬する者もいれば、明らかな敵意を持って接する者さえいた。
傷や病を癒す立場にありながら、彼等は新薬を出世の道具としてしか見ていなかったのだ。
そんな彼らに辟易し、医師の在り方に悩んでいる時だった。
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