勇者「救いたければ手を汚せ」 
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155:名無しNIPPER[saga]
2016/12/06(火) 01:12:28.26 ID:uyYIQu6tO

自身を脅かす唯一の敵。勇者。

彼の最愛の母と最愛の女性を手中に収め沈み込んでいく、襤褸を着た男は肩を震わせて笑った。


「法も徳も失われた世で、真に望まれているのはどちらなのか、世に問おうではないか」


粘り着くような声だけが響き渡り、襤褸を着た男は姿を消した。

しかし、影があった。

何者も存在しないはずの部屋に、底の見えぬ穴のような、光すら呑み込む影だけがある。

それは次第に広がり、舐めるように床を溶かし、部屋の中央に穴を空けた。



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