156:名無しNIPPER[saga]
2016/12/06(火) 01:18:57.72 ID:uyYIQu6tO
底からは、微かに音が聞こえる。
何かの呻きのような唸りのような、獰猛な何かが押し寄せる気配が、徐々に迫ってくる。
穴が不気味に伸縮を繰り返す。
まるで呼吸しているかのように、何かを吐き出すように、脈動している。
そして、穴の伸縮と連動するように、次第に呻きと唸りが大きくなる。
穴が一段と大きく息を吐いた時、それに押し上げられるように現れた鉤爪が縁を掴んだ。
一つ、また一つ。
闇の底から湧き出した灰色が姿を現し、地下施設へと駆け出した。
生かす為に作られた避難所は、絶望の手によって無慈悲な処刑場へと姿を変えた。
最早、彼等に逃げ場はない。
行き場をなくした彼等彼女等に、為す術はない。
阿鼻叫喚の地獄へと変わるのに時間は掛からない。宣言通り、皆等しく死ぬ。
人間も、魔神族も、決して逃れることは出来ない。
絶望は絶望であることをまっとうし、与えるべきを与え、姿を消したのだ。
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