153:名無しNIPPER[saga]
2016/12/06(火) 01:05:06.48 ID:uyYIQu6tO
「やっと、相見えることが出来る」
「我と我等の半身でありながら相対する者。我と我等と共に生まれし者」
「希望よ」
その言葉は此処ではない場所へ、視線は天井や地上より遥か高い場所へと向けられている。
勇者が絶望の存在を感じるように、絶望もまた勇者の存在を強く感じている。
「希望よ。見ているのだろう?」
「この舞台。世界の上で、どちらかが朽ちるまで存分に斬り結ぼうではないか」
「父と子として、無明の底の混沌より生まれた出た一つとして……」
「我が半身、兄弟よ。遂に、遂に、この時が来たのだ」
絶望は愛おしげに腕を広げ、囁いた。
赤い眼に埋め尽くされた腕が更に大量の血涙を流し、瞬く間に床一面を赤黒く染め上げた。
流れ出た血涙は、時を戻したかのように襤褸を着た男の足下へと収束していく。
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