152:名無しNIPPER[saga]
2016/12/06(火) 01:02:06.71 ID:uyYIQu6tO
煤けたフードの奥にある暗黒に、幾つもの赤い眼が浮かび上がる。
それらすべてが彼女を凝視し、それぞれが憎しみを叩き付けるかのように、視線を浴びせかけた。
彼女は凄まじい悪寒と憎悪に呑まれ、気が遠退くのを感じながら、強く念じた。
(私に何があろうと生きて。勇者、あなただけはしあわせに……)
次の瞬間、彼女の意識はぶつりと途切れた。
襤褸を着た男が、歓喜に身を震わせた。
勝利を確信してのことなのか、これから始まる戦いを想像して身震いしているのか。
「ヌハッ…キヒッ…ひゃひひひ」
絶望は、蠢く眼を全身に浮かび上がらせ、この上なく不快な笑い声を響かせた。
それに応えるかのように、全身の眼がうぞうぞと身体を這い回り、歓喜と狂気の血涙を流す。
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