111:名無しNIPPER[saga]
2016/11/28(月) 00:45:31.18 ID:AvNE7CqXO
魔女は歯噛みした。
他にやりようはない、勇者が来るまで燃やし続ける他にない。
自分の名を繰り返し呼び続け、のたうち焼け爛れる恩師を見続けなければならない。
「(絶望の化身、襤褸の男。これが、お前のやり方か)」
様々な感情が綯い交ぜになり、泣けばいいのか怒ればいいのかも分からない。
瞳からは涙を模した炎がとめどなく流れ、唇は真一文字に固く結ばれている。
泣くまいと堪えているようだが、涙は一滴、また一滴と零れ落ちる。
魔女の涙は地面を焦がしながら、悲しげな音を立てて消えていった。
それを見ていた符術師は、魔女もまた、炎に焼かれているようだと思った。
これ程まで救いたいと願いながら救えず、愛する男性に要らぬ重荷を背負わせる。
魔女の心中は、どれだけの苦痛と悲痛に曝されているのだろう。
それを想うと、符術師の胸は酷く痛んだ。
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