110:名無しNIPPER[saga]
2016/11/28(月) 00:42:04.09 ID:AvNE7CqXO
「(自分の師を、育ての母を燃やすなんて最低だ……)」
「ま、じょぉ、あづい、あづい…たのむ、やめ…でくれ」
「(先生、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいっ…)」
それは、他ならぬ自分。
自分の力では安息に導くことは出来ず、苦しみを与えることしか出来ない。
体を焼き続けることで足留めをし、勇者を待つことしか出来ないのだ。
それもまた、苦痛だった。
勇者でなければ、師を救えない。
偉大な師であり最愛の母でもある魔導師を、最愛の男である勇者が殺す。
こんなことがあっていいのか、許されるのかと、魔女は炎の威力を増した。
師を救いたい、早く終わらせてやりたいと願いながら、力を込める。
しかし、黒の塊が胸部に集中するのみで、それ以上の効果は見られない。
もしかしたらと思ったが、やはり無駄だった。
与える痛みが強くなるばかりで、黒い塊が燃え尽きる気配は一向に見られない。
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