80:名無しNIPPER
2016/12/17(土) 21:25:49.02 ID:wE4VPC8M0
「ふぅ」
紗南は机の下に潜り込むと、一息つく。
「…ぁぅ」
「ひゃああっ!」ゴツン!
唐突に背後から声がして、紗南は驚いて机に頭を打ち付けた。
「いったたたた…」
「ぁああ…すいません紗南さん…うぅ…森久保のせいで…」
「乃々ちゃん…いたんだ…」
「いたんですけど…ずっといたんですけど…」
森久保はいつになく弱弱しい声だ。その体も、いつも以上に小さく縮こまらせて、机の暗がりにすっぽりと埋まってしまっている。
「…もしかして、輝子ちゃんを?」
「ひぅっ…も、森久保は何も見てないんですけど!輝子さんが急に倒れたとか…変なぐにょぐにょに変わっていったとか…見てないです、見てないんです…うぅぅ…!」
「大丈夫だよ乃々ちゃん…皆が助けてくれるから」
「皆…?皆って誰ですか…誰でもいいです、助けてください…」
暗がりで見えづらいが、乃々はぽろぽろと涙をこぼしていた。
「まゆさんがいなくなって、輝子さんまでいなくなって…もう、森久保には頼れる人が…」
「…大丈夫だよ、アタシがここにいるから。ほら、涙拭いて」
「あぅぅ…」
紗南はポケットからハンカチを取り出す。一緒に先ほどのガシャットがコロンと落ちた。
「…あ、そうだ。ねえ乃々ちゃん、Pさんがこれと同じものどこかに仕舞ってなかった?」
「ふぇ?…えっと、そういえばこの前そこの引き出しに…」
乃々はおどおどと机の一番下の引き出しを指さす。
「ここか…鍵が掛かってて開かないや…」
「…大切なもの、なんですか?それ、いつも紗南さんがやってるゲームソフトですよね…?」
「あー、うん、そう。Pさんに取り上げられちゃって…」
「プロデューサーさんが…?そこは、森久保のポエム…じゃなくて、森久保の大切なものが入ってるんですけど…本当に大切なものだから、仕舞っておいてもらってて…」
「じゃあ、鍵とかは?」
「プロデューサーさんがいつも持ち歩いてるんですけど…森久保が頼めば、開けてもらえる…はず……」
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