76:名無しNIPPER
2016/12/17(土) 21:18:22.43 ID:wE4VPC8M0
「ワンツースリーフォー、ファイブシックスセブンエイ」
御白プロダクションのあるレッスンルーム、緑ストライプのトレーニングウェアを着た女性が、リズムを刻みながら二人のアイドルのダンスレッスンをしていた。
「はい決めポーズ!……よし、だいぶ様になってきたな。これなら来週のミニライブには間に合いそうだ」
その女性…御白プロのダンス専門トレーナーは満足げに頷いた。
「はぁーっ…」
「…ふぅ」
決めポーズのままで固まっていた紗南とありすは同時に大きく息を吐き、その場に座り込んだ。
「お疲れのようだね」
キィ、とレッスルンルームの扉が開く。
「あ、飛鳥さん。おつかれさまー」
「…何か用ですか」
「フフッ、差し入れだよ
全くボクは嫌われているようだね」
スポーツドリンクを差し出す飛鳥はそう言いながらもまんざらでもなさそうだ。
「ねえ、あんずの分は?」
「うわっ」
レッスンルームの隅でゴロゴロしていた杏がむくりと起き上がって言った。
「…なんだ、双葉さんもいたのか。見かけなかったから居ないと思って持ってきてないよ」
「えー…まあいいけど。あと、そんなかしこまらずにあんずでいいよ〜」
杏はぶーと頬を膨らませるが、それほど不満ではなさそうだ。
「私達三人は一つのユニットなんですから、一緒にレッスンするのは当然です」
「ゲーマーズ.incって言うんだよ!」
「ゲーマーアイドルのユニットってコンセプトなんだってさー、あんずはゴロゴロしてるほうが好きなんだけどな〜」
「へぇ…」
「…そういえば、二宮も来週のライブに出るんだったな?」
トレーナーが飛鳥に訊ねる。
「そうなんですか?」
「ああ、キミ達と同じルームに入って初めてのお仕事さ。
フフッ、奇遇だね」
「へー、お互い頑張ろうね!」
「ああ…ところで二人とも、もうレッスンは終わりだろう?少しいいかな?」
紗南とありすは顔を見合わせると、飛鳥と連れ立ってレッスンルームを後にした。
「…なんだ、随分仲がいいなあの三人は、いいのか双葉、付いていかなくて」
「別に?子供同士秘密の話くらいひとつふたつあるでしょ」
「お前も子供だろう…あと、次のレッスンは本番前最後だからな、お前にもみっちり踊ってもらうぞ」
「じゃ、あんずはこれで〜」
「コラ逃げるな!」
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