志希「それじゃあ、アタシがギフテッドじゃなくなった話でもしよっか」
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99:名無しNIPPER[saga]
2017/03/06(月) 18:24:19.84 ID:QqrE/sCZ0

どうして、と問われて、アタシはなにかを諦めるように声を出した。
「きっと、戻りたかったんだよ。才能のあったころのじぶんに」口を尖らせて、そうこたえた。

じぶんが出した答えに疑問を持つことはなかった。女の子はふつうの人になりきれなかった。だから男のもとを去っていった。アタシはそう思っていた。

「それは、どうだろうな」だけど、アタシの言葉に、彼は首を傾げた。

「俺は、もっと違うことを考えていたよ」
「……ちがうこと?」アタシがそう聞くと彼は話をつづけた。

「たぶん、分かり合えないと思ったからじゃないかな」寒そうに手に息を当てながら、彼は言った。

わけもわからずアタシは「どういう意味?」と尋ねた。

「普通の人になって、それで、本当に好きな人ができて、女の子は幸せだったと思うよ。

だけどさ。それだけじゃあ埋まらない隙間があったんだとすれば、どうだろう」

突き刺さるような彼の瞳がアタシに向けられた。

「どこまで行ったって、ふたりは、普通の人と才能のある人なんだからさ」




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