志希「それじゃあ、アタシがギフテッドじゃなくなった話でもしよっか」
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51:名無しNIPPER[saga]
2016/11/28(月) 14:22:46.28 ID:4QC7f0vB0

――その日から、めまぐるしいくらいに時間は過ぎていった。

オーディションに向けた準備を着々と進めるために、これまで以上にレッスン量が増えた。
泣き言も言わず、アタシはがむしゃらにそれらすべてをこなしていった。
家に帰ったらトレーナーから言われたことをすべて書き出し、くりかえし反復練習をした。
足に血豆が出来るのは珍しくもなかった。ゆっくりと、少しずつでもいい。アタシは前に進もうとしたんだ。

プロデューサーとの会話はあれから確実に少なくなった。
理由はとっても単純で、アタシ自身が彼を避けていたからだった。
車での移動中も、アタシは一言もしゃべらずに窓の外を眺めていたし、打ち合わせでも最低限の言葉以外は声を出さなかった。

あの日、扉越しに泣いた日から、アタシは彼との間に壁をつくった。

きっと、自己防衛のつもりだったんだろうね。アタシはこれ以上彼からの気遣いを受けないようにしたんだ。

もう傷ついてしまわないように、じぶんを守ろうとしたんだ。




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