志希「それじゃあ、アタシがギフテッドじゃなくなった話でもしよっか」
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50:名無しNIPPER[saga]
2016/11/27(日) 19:12:40.98 ID:1UtNLpHa0

扉の外で、アタシは両手で顔を抑えて蹲った。

すべてを吐き出してしまいたいと思った。この抱え込んだ何もかもを、ぜんぶ、誰かに叫んでしまいたいと思った。

ムキになって、出来もしないことを引き受けた。あんな大きな仕事、いまのアタシに出来るはずもない。
きっと、アタシは、また失敗するんだろう。みんなの前で恥をかいて、家に帰って、ひとりで泣くんだろう。


……嫌いだった。彼の心配そうな声が、とても嫌いだった。だから、あんなことを言ったんだ。

アタシはあのとき、彼の胸倉をつかんで「やめてよ! アタシに同情なんてしないでよ!」なんて叫べばよかったのかな。そしたら、彼はまたアタシを慰めてくれたのかな。後で「なにかあったのか?」って聞いてくれたのかな。

涙が勝手に溢れ出してきて、服の袖でそれを拭った。生まれ変わってから、何度流したことだろう。悔しくなって、苦しくなって、それがどれくらい涙に変わっただろう。

嫌いだった。彼のことが、だいきらいだった。

だけど、いちばん嫌いなのは――そんなアタシ自身だった。

ちゃんと、じぶんの気持ちを伝えることが出来ない、アタシ自身だった。




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