季節走り 心はいつまでも (モバマス)(輿水幸子)
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◆MhRo2YnWE.V/
[saga]
2016/10/12(水) 04:09:51.12 ID:WjS2YlCB0
せっかく聞こえないフリをしてやっていたというのに、男心のわからないやつだ。俺が女心がわからないやつみたいじゃないか。
「まあ、幸子のたくらみは大体わかったよ。どういうリアクションをすればいいかはわからんが」
「……何かフォローをしてください」
「あー、そうだな」
さっきまでの、幸子が俺に箸を差し出す光景を思い出す。
……ああいうのをやったことはなかったが、悪くないものだ、と感じていた。
「俺はなかなか楽しかったよ、うん。嬉しかった」
思いもよらない言葉だったのか、幸子の目が丸くなって。すぐに顔をそむけるように、自分の手の中の弁当へと目を戻した。
「……ふ、ふーん。じゃあ、いいです……」
小さな声で、ぽつり。
何がいいんだろ。思わず少し笑ってしまうと、幸子はなぜか悔しそうな顔をした。
しばらく、二人で無言で箸を動かす。本当にうまい。
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