季節走り 心はいつまでも (モバマス)(輿水幸子)
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◆MhRo2YnWE.V/
[saga]
2016/10/12(水) 04:07:41.89 ID:WjS2YlCB0
幸子に限界が来たのは、それから三口ほど後のこと。
恐らく50メートル離れてもわかるほど顔を赤くした幸子は、「あっ! そういえばここにお箸を入れていたのを忘れてました私ってオチャメでカワイイですね!」と、鞄のポケットからケースに入った箸を取り出し、顔を伏せて俺に押し付けた。
そういうわけで、俺と幸子は並んでお弁当を食べている。幸子は自分の分のお弁当を取り出し、……俺の口へと料理を運んでいた箸を長い間見つめた後、ケースにしまって別の割り箸を取り出した。あきれるほど用意がいい。
幸子は自分のお弁当に手をつけることなく、何かぶつぶつ言っている。
「……違うんですよ」
「うまいな、このハンバーグ。二種類のソースごとに野菜の切り方を変えてるんだな」
「わ、私じゃなくて、アナタが先に折れて……そういう予定で……」
「このフライはヒラメかな。下味に何か香辛料を使っている……山椒か? うまい」
「なのに、こんなに私のほうが恥ずかしくなるなんて、思ってなかったから……」
「ご飯もただ味をつけるだけじゃなくて、おかずと一緒に食べた味を計算して……」
「聞いてるんですか!」
「……お前こそちゃんと聞いてるのか、せっかく褒めてるのに……」
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