季節走り 心はいつまでも (モバマス)(輿水幸子)
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30: ◆MhRo2YnWE.V/[sage]
2016/10/01(土) 04:12:49.45 ID:ZW02KSQZ0
(フフーン、最初からそうすればいいんですよ!)

 ……なんてセリフを予想していたんだが。
 幸子は目に見えてわかるほど、顔を赤くして固まっていた。目を大きく開けて、どうすればいいのかわからない、という風に俺の口に目を……だから、照れるだろ。
 恥ずかしいので、俺は自分から動いた。箸の先に顔を寄せて、含む。

「……あっ」

 幸子がびっくりしたように箸を引いた。つまんでいたサラダは俺の口に残ったので、だまって咀嚼する。

 ……ん! うまい!

 緊張で味なんかわかんないんじゃないかって思ってたが、案外そうでもないな。
 一見、何もかかっていないシンプルな生野菜だったけど、酸味とわずかな塩で味がついている。うまみもある。浅漬けに近いか? だし汁に酢と塩、そして香りづけの何かを入れて、サラダを入れた後に水気を取ってつめたのかな、と想像する。

「おいしいよ、幸子」

 俺は思わず微笑んでいた。
 それを見て、固まっていた幸子がはっとしたように動き出した。顔はまだ赤い。

「と、当然です! 私の料理なんですからね!」

 幸子はあわてたように次の料理を箸で取った。海草サラダだ。

「またサラダか」

「野菜から食べたほうが健康にいいんです! 知ってました!?」

 焦った口調の幸子が差し出した箸に、俺はまた口を開けた。一度やったからか、もうあまり恥ずかしくない。
 むしろ恥ずかしがっているのは幸子のほうで、その動きは初レッスンの時よりガチガチだった。
 ただ、今度は箸を俺の口に幸子が自分で入れた。
 これもうまい。驚くべきことに、さっきのものと恐らく同じ技法、しかし違う味だ。わざわざ別のだしをこのために取ったのか?

「おいしい……。幸子、もっと食べさせてくれないか」

「わ、わわ……。もう、しょうがないですね、アナタは……」


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