季節走り 心はいつまでも (モバマス)(輿水幸子)
1- 20
27: ◆MhRo2YnWE.V/[saga]
2016/09/30(金) 21:50:41.37 ID:pRXmeXlp0
「どうです? ちょっとしたものでしょう」

「ああ、圧倒されたな」

 手作りのお弁当も何度か見てきたけれど、これだけのお弁当はなかったかもしれない、と思う。
 素直な賞賛に、幸子はますます嬉しそうに笑顔を深くして、顔を近づけてくる。

「次は、実際に食べて味をホメてくれてもいいんですよ」

「そうさせてもらおうか。いただきます、……って、あれ」

 ぜひそうしたいところだが、お箸もフォークもないのに気づいた。

「幸子、箸がないぞ」

「あれ? そうでしたか?」

 幸子はあわてた様子でカバンの中をごそごそと探した後、少し落ち込んだ風な顔でこちらを見た。

「ごめんなさい、私としたことが……お箸を忘れてしまったようです」

「ありゃ、そうなのか」

 仕方ない、そういうこともあるだろう。その辺のコンビニで割り箸を……。

「なので」

 幸子が、いつの間にか赤い箸を手にしている。俺が持っていた弁当箱に箸が伸び、彩り美しいサラダをつまんで持ち上げた。
 そして、俺の口元へと近づけてくる、この、動き。

「私が食べさせてあげます。よかったですね」

「……おまえ」

「はい、どうぞ。あーんしてください」

 どういうことだこれは。
 彼女の一瞬のためらいもない、流れるような動き。この展開。まさか。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
59Res/43.78 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice