72:名無しNIPPER[saga]
2016/09/21(水) 05:12:05.50 ID:AhSgyJvx0
心折れた戦士「………」
祭祀場の篝火に当っている鎖帷子を着た戦士は、迷っていた。
鳴るはずの無い鐘が鳴った事で、絶望一色だったこの男の心に、一筋の光が射していた。
だがその光は弱く、男に行動を起こさせるほどの希望をもたらしてはおらず、かえって胸中の焦燥感を煽るだけとなっている。
コブラ「なんだ、アンタまだそんなとこにいたのか」
心折れた戦士「!」ビクッ
コブラ「お尻に根が生えるにしてもまだ早いと思うがね」
心折れた戦士「……あんたに何が分かるってんだ」
コブラ「何も分からんさ。ソラールのヤツから色々聞いてはいるが、そんな話でアンタの事なんて分かるわけないだろう」
心折れた戦士「………」
コブラ「ソラールと合流できなかったから、代わりにアンタと病み村に行こうと思ってたんだがね。とんだ期待外れだ」
コブラ「臆病でいるのも一向に構わんがね。俺達も、この地の誰も、アンタのママにはなっちゃくれないぜ」
コブラ「行くぞレディ。冒険心を失った男は終わり以前の問題だ。構うだけ無駄だろうよ」
レディ「ええそうね。さようなら戦士さん」
ザッザッザッ…
心折れた戦士「………」
レディ「本当に上手くいくの?言い過ぎてるんじゃなくて?」
コブラ「言い過ぎてるのがいいのさ。少なくともあいつは自分のために努力が出来るくらいの矜持は持ってる。努力する方向を見失っちまったからダメになってるだけで、希望が見えている今は、失望にしがみついてる必要も無い」
戦士「ま、待ってくれ!俺も行く!」タッタッタッ…
コブラ「ホラきた」ニッ
レディ「口のうまさは天下一品ね」フフ…
戦士「待ってくれ!お、俺はどうすりゃいい!?」ハァハァ…
コブラ「どうすれば良いって?そんなの自分で考えてくれ」
レディ「いいじゃないのコブラ。太古の地球文学日本国文書にもあるでしょう?『先達はあらま欲しき事なり』ってね」
コブラ「ずいぶん古いところから引用するんだなぁ。俺はタイトルも忘れちまってたよ」
コブラ「なぁ、アンタ、病み村って所へ行く道は知ってるかい?」
戦士「あ、ああ、知ってる。知ってはいるが…」
戦士「と…取り敢えず行く道は、俺が知ってるだけでも二つある」
コブラ「また二つか。二択クイズじゃあるまいし」
戦士「一つは、道のりが険しく、危険だが、噂が正しければ病み村にたどり着ける道。もう一つは、短くて危険も少なく、病み村にたどり着けるが、絶対に通れない道だ」
コブラ「なんだそりゃ?」
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