715:名無しNIPPER[saga]
2021/06/23(水) 16:06:53.39 ID:joB1L1uj0
クラーグ「!?」ボワッ
戦士「うおっ!なんだよいきなり」
種火を調べ終え、次に種火の入れ物を調べていた魔女が、突如として蜘蛛の炎を強めた。
そして飛び起きた戦士に構わず、魔女は種火の入れ物に蓋をして、蜘蛛糸で巻くと、蜘蛛の燃える腹毛に粘りつけた。
ラレンティウス「どうしたんですか?何か不調でも…」
クラーグ「この感覚……まさか…」
ラレンティウス「…?」
クラーグ「魔術師!太陽の小僧を叩き起こせ!」
グリッグス「!?」
ガサササーッ
グリッグスの返事を待たずに、クラーグは蜘蛛足を走らせて、篝火から離れてしまった。
何事かと思ったグリッグスはクラーグの行く先を目で追い、ことの重大さを把握した。
戦士もいきなりのことで若干の苛立ちと共に、炎の蜘蛛魔女を目で追い、同じく事態を知った。
グリッグス「おいソラール!起きろ!」ゆさゆさ
ソラール「なん…なんだ?…どうしたんだいきなり…」
戦士「俺は先に行ってるからな!ラレンティウス!」ダダッ
ラレンティウス「お、おう」ダダッ
グリッグスとソラールを残して、戦士とラレンティウスは、クラーグの後に続いた。
グリッグス「ソラール!はやく起きるんだ!」
ソラール「ちょっと待ってくれないか…いったい何のことだか…」
グリッグス「封印が消えた!」
ソラール「……え?」
グリッグス「消えたんだよ!王の封印が!綺麗さっぱり無くなってるんだ!」
その報は、ソラールの頭を覚醒させるのに十分なものだった。
兜を被り、剣を腰にはいて、グリッグスが指差す方向を見る。
そして見た先には、黄金色に輝く霧は無かった。
ダッ!
ソラールは石畳を蹴って駆け、崩れかかった長階段を滑り降り、土をはねて走り、封印のあった場所に立つクラーグの横に立った。
横一列に並んだ旅の一行の前には、熱気の無い石造の大広間が広がっており、その向こうには、焼土を縦にくり抜いて作った空間に、石の階段を敷いた景色が見えた。
ソラール「何が起きたんだ!?大王の封印が解かれたのか!?」
クラーグ「いや…違う…これは、解かれたのではない」
ソラール「では、どうして…」
クラーグ「砕かれたのだ……誰か、あるいは何かに…」
ソラール「…何か…?」
ソラール「何かとは…それは…なんなんだ?」
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