513:名無しNIPPER[saga]
2018/10/27(土) 02:25:50.07 ID:LCG/OwM30
「やめよ、オーンスタイン」
オーンスタイン「!」ビタッ
黒い外套の男が被るフードに斬り込みを入れ、十字槍は止まった。
しかし、外套の男は汗ひとつかかず、むしろ口元に笑みを作った。
ズオオォォォ…
コブラ「今度はなんだ!?」
レディ「光が…太陽が沈むわ!」
王女の間を照らしていた太陽はみるみる陰り、後光を受けていたグウィネヴィアは姿を消す。
温もりを失った部屋の中は冷え、窓からの光は月光へと変わった。
月光は王女の間を霊廟の如く冷たく照らし、闇に囲まれた一室は、青白く浮かび上がる。
その暗く青白い一室の中心に、白き光を纏う者が現れた。
「其の者は、陰の太陽にこそ用向きがあろう」
白い光を纏う者は、金の細工が施された純白のドレスに身を整え、目元まで隠す黄金色の棘冠を被っていた。
右手には金の長杖を、左手には金の短弓をそれぞれ持つその者のスカートからは、爪先の代わりに幾匹もの蛇が顔を出している。
黒い外套の男「フン、不具の暗月のお出ましか」
レディ「な、何が起きているの…!?」
コブラ「おいおいおい!ここらでティータイムにしないか!」
オーンスタイン「横槍はならん。黙っていろ」
オーンスタイン「グウィンドリン様、僭越ながら申し上げますが、この者はやはり謀反者。貴方様が手を下す必要もございません」
グウィンドリン「無礼者。王の器の簒奪を裁くならば、この者の処遇は我ら王族が定める」
グウィンドリン「すでに我の眼を通し、コブラを見たのだろう。我らが王の封印を前にした苦心は汲むが、これ以上の介入は許されぬ」
オーンスタイン「………」
グウィンドリンに諌められ、竜狩りは槍を引いた。
不具の暗月と呼ばれた者は、黒い外套の男に長杖を向ける。
グウィンドリン「貴官においては、少なからず信頼を置いていたが……残念だ」
黒い外套の男「………」
グウィンドリン「せめて貴官を裁く前に、貴官の言い分を聞こう」
グウィンドリン「何故、我を裏切った」
黒い外套の男「………」
黒い外套の男「……ククッ…クックックックッ…」
グウィンドリン「………」
黒い外套の男「最後まで気付かんとは、どうやら王の教育は失敗だったようだな」
黒い外套の男「俺は裏切ってなどいない。初めから貴様らを利用していたのだ!」
黒い外套の男が勝ち誇るように語り終えると、グウィンドリンの長杖は蒼い爆発を放った。
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