490:名無しNIPPER[saga]
2018/10/20(土) 05:44:45.98 ID:q3PX0KLY0
真鍮鎧の騎士(宇宙……神の力の及ばぬ処…)
真鍮鎧の騎士(…まったく想像がつかんな。理の外の者が何故我らと同じ形をしている?我らが神々は何故あの者をここに?)
シュオオオオ…
真鍮鎧の火防女が壁に寄りかかり、思索に耽っているなか、篝火の灯は揺らぎ、灰を舞わせた。
舞い散る灰は急速に纏まり人の形をとった。そして強張りつつも垂れ下がり、色づき、一人の亡者を生み出す。
ヴィンハイムの制服を崩したローブを着こなし、大皿の如き帽子を被るその亡者は、篝火に跪き、手に黒い精霊を握った。
ボオゥーーン…
黒い精霊が篝火に落とされると、篝火から太陽色の輝きが溢れて亡者を包み、彼の朽ちた表皮に染み入った。
すると、亡者の身体は再び潤いに満ち、枯れた眼球には光が入った。
ローガン「歯がゆい…神秘を前にして、ここまで戻されるとは……」
真鍮鎧の騎士「死んだのか。他の者はどうした?」
ローガン「ここに蘇らんという事は、打開したのだろう。あれを相手にというのなら、大金星だろうなぁ」
ローガン「しかし、不死者ではないコブラなどは、今頃どうしていることやら」
真鍮鎧の騎士「………」
ローガン「…まぁ、ひとまずは仮面の者がここに蘇らんことを祈りつつ、旅支度をするよ」
ローガン「貴公は手伝ってくれるかな?」
真鍮鎧の騎士「断る」
ローガン「ほっほ、だろうな」
神々の地でコブラ達が創意工夫を迫られている頃、魔女と炎の地に休む不死の一行は、しかしその人数を一人欠いていた。
旅から脱落したわけでは無い。ただ篝火周りには寝転がる名無しの戦士と、種火を調べる蜘蛛の魔女と、読み書きをする二人の術師がいるだけだ。
太陽の戦士はそんな旅の仲間からは離れた処に立ち、見上げているだけである。
太陽の光の王が施したとされる、黄金色の門を。
ソラール(火は空にあり、地中にもある……しかし太陽は人の世を見捨てて長い夜をもたらし、混沌は魔女の都を焼いてしまった。世は陰り、人の内に不死が生まれた)
ソラール(俺は何をしている?…不死の使命はいまだ見えず、空の火も地の火も、今は滅びを撒くだけだ。そんな物に、何故俺は近づいている?)
ソラール(太陽の光の王はこの都の炎を封じた。それはかの王が、炎の乱れを恐れたからではないのか?魔女は遥か昔に神々と共に竜と戦い、ゆえに太陽を知っていたはずだが、混沌を生み出した。魔女の主は、かの王と同じように、太陽を恐れていたのではないのか?輝きが乱れることを恐れたのではないのか?)
ソラール(…クラーグに聞くべきだろうが、俺の思う通りの答えが返ってきたらどうする…?)
ソラール(空にも地にもすでに偉大な力は無く、それらを築いた偉大な古き者達も、誰一人としてすでに、かつての力を持ち得ないとしたら?魔女に恐れがあるように、神々にも恐れがあったとしたら?)
ソラール(そもそも、この世に俺の求める“太陽”など、元から存在しなかったとしたら…?)
ソラール(全てはまやかしだと……永遠の栄光や愛、お伽話にもさえ終わりがあり、意味ある物は世に無いなどと…)
ソラール(……そう答えられ…俺は立てるのか?……)
ソラール(……立ち上がり、何処へ……)
ラレンティウス「よぉ、どうしたんだ?俺たちの力じゃそこは通れないだろ?」
ソラール「!」
ラレンティウス「あんたの信じる太陽の神様がこさえた封印だ。人間にはどうにもならないさ」
ソラール「………」
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