【スペース・コブラ】古い王の地、ロードラン
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45:名無しNIPPER[saga]
2016/09/16(金) 08:04:21.84 ID:arCyxKGf0

赤いマントを羽織った三人の騎士達は、みな教会の一階に設けられた信者席の近くで倒れている。
一人は骨と皮だけとなった顔を砕かれ、二人目は如何なる膂力によるものか、鎧ごと胴体を貫かれている。
三人目は教会を内部から支える石柱に後頭部を叩きつけられたせいか、へたり込んだまま、ただ目から血を流すばかり。

彼らを助け起こそうとする者は誰一人としていない。
巨大な鎚を担いだ騎士は、顔を砕かれた騎士をゴミクズの如く踏みつけたまま微動だにせず、粗雑な布を纏った亡者達は皆一様に徘徊を続ける。
そしてその亡者達を見下ろす六目の伝道者も、彼らを諌めようとはしない。
その必要はないし、それらを肯定する倫理や道徳などもとうに失われていたからである。

だからこそ、彼らは敵の侵入を再び許してしまった。



ビュン!


バーニス騎士「!」


ガァン!


不意に飛んできたロングソードを、大鎚を持った騎士は咄嗟に、左手に持つ大盾を前面に押し出す事で防いだ。
彼が持つ大仰な盾は分厚く、一本の剣などは小石のように弾いた。
当然、それこそがコブラの目的だった事などは知る由もない。

コブラ「よぉ、元気かい」

二度目の不意は騎士の背後からだった。
騎士はもはや本能的と言っていいほどの反応をコブラに示す。

ブォオオン!

振り向きざまに、顔面目掛けた一撃必殺を叩き込む。
はずだったが…

ガキーッ!! ドシャーッ



コブラ「……じゃなさそうだが、病院には一人で行ってもらうぜ」


勢いをつけた顔面にコブラの放った全力の右ストレートがブチ込まれ、騎士は錐揉みに回転した後、地に伏せ、動きを止めた。
六目の伝道者はその一部始終を見て、侵入者に対しての値踏みを終わらせ、異形の矛を手に踊りを始める。

コブラ「その様子だと、降参って感じじゃあ無さそうだなぁ」

コブラはバーニス騎士に目掛け投げ込んだ剣を拾い上げ、刃の側面をそっと指でなぞる。
そんなコブラに隙ありとばかりに、一人の亡者が斬りかかった。

キィーン!

亡者の握った直剣とも呼べぬ粗悪な得物は、剣に弾き飛ばされてあらぬ方向を虚しく斬った。
しかしコブラはその手に残った感触に、ここに来るまでに防いできた亡者の剣撃とは違う、歪んだ強さを見た。
伝道者の踊りはより一層狂騒的となり、亡者達の眼は爛々とした輝きを放ち始める。
希望や生命力ではなく、闘争心一色に染められた輝きを。


コブラ「そうかい、シャーマンってヤツか。西洋の教会でシャーマニズムの儀式をするとは、教養が足らんなぁ」


亡者達は湧き上がる闘争心に従い、一斉にコブラに襲いかかった。


スカッ!


だが亡者達の剣が、空中を舞うコブラに届く事は無かった。
伝道者は自身のすぐ右横にある石柱に突き刺さった、細い金属製の紐に疑問を感じ、ふっと踊りをやめてしまった。

ドカッ!

伝道者「グエッ!」


コブラがその隙を見逃すはずも無く、伝道者は背後から蹴り飛ばされ一階の広間にある信者席に墜落した。
そしてコブラは二階に積まれた樽や椅子を急いでかき集め…

コブラ「そらーっ!」 ガシャーン!ガラガラ…

広間に向かってそれらを投げ落としはじめた。



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