113:名無しNIPPER[saga]
2016/10/13(木) 12:27:16.77 ID:pqizT1gx0
四人の不死が病み村を目指して旅を始めたころ、コブラは苔むした石造りの塔の上で、つかの間の休息を楽しんでいた。
もっとも、魔女ビアトリスの質問攻めをその間にも浴び続けていたのだが、お喋りなコブラにとって、苦では無かった。
ビアトリス「………」
コブラ「とまぁ、そういう訳で俺の講義は終わりだ。質問があれば手を挙げてくれ」
ビアトリス「質問、か………本来ならば一笑に伏す話だったが、私の見たものは事実だ。貴公の話も、恐らくは真実なのだろうな…」
ビアトリス「だが私には分からない……数多の星々を巡り、神秘のからくりを扱える貴公なら、不死の使命など知る必要もないではないか。もし貴公の言う仮説の通りに、この地が星々の一つに過ぎないのなら、元の星に帰れば済む話だろう?時空さえも越えられるなら、尚更ではないか…」
コブラ「それをしようにも船を無くしちまったもんでね。それにタイムスリップと次元跳躍、ワープ航法は、似ているようだが全くの別物だ。しかもここに飛ばされた時に使われた原理が分からないときてる。脱出は無理だね」
コブラ「それに次元跳躍にはウサギが必要だ」
ビアトリス(兎?生贄の儀式も操るのか……この男は一体いくつの秘術を会得しているんだ…?)
ビアトリス「……よくわからないが、貴公がそう言うなら、そうなのだろうな…」
ビアトリス「して、貴女はいつになったら鎧を脱ぐんだ?そこまで身体に密着した鎧では、息も苦しいだろう」
レディ「問題無いわ。コレでも健康体よ?なんなら握手でもしてみる?」スッ
ギュッ
ビアトリス「!? こ、これは…!?」
レディ「どう?そんなに窮屈な手触りじゃないでしょう?」
ビアトリス(柔らかい……それに、ソウルの流れを感じる…)
ビアトリス「貴女は一体…」
レディ「私はサイボーグよ。言うなら、心を持ったカラクリ人形ね」
コブラ「その言い方はあまり好きじゃないね。いつから自分を卑下するようになったんだ?」
レディ「あら、そんなつもり無いわよ?大事なのは外見よりも心だもの」
ビアトリス「心のあるからくり……まさか、貴公らはウーラシールの喪われた魔術も…?」
コブラ「知らんね。あいにく魔法は絵本で楽しむタイプなんだ」
ビアトリス「またはぐらかすのか……貴公も酷い男だな」
コブラ「よしてくれ、そんなに褒められるのは慣れていない」
ビアトリス「ところで、貴公らはなぜこの森に?病み村の毒に対する薬草を摘むより、商い者から買った方が楽なのでは?」
コブラ「なに?商人がいるのか?そいつは驚きだ。さてはあの野郎隠してやがったな。今度会った時はこってり絞ってやるか」フフ…
ビアトリス「知らなかったのか。まぁ、あの男も隠していた訳では無いだろう。商人達の大抵は戦う力が無いゆえに、辺鄙な所で店開きをするからな。私が知っているだけでも、最下層あたりの下水に二人はいた」
コブラ「前言撤回だ。そんな所で薬草なんて買ったら、買ったそばから使っちまう。あいつには花でも摘んどくか」
コブラ「さってと!」シュタッ!
コブラ「やる気が残っているうちに、さっさと病み村とやらに行くとするかな!ここにいたんじゃ安らかすぎて、元の世界に帰る気が失せてくるってもんだ」
ビアトリス「まぁ待てコブラ。別れる前に、貴公に渡す物がある」スッ
コブラ「?」
ビアトリス「ここらに自生してるキノコを焼いたものだ。食のいらない不死の私には無用の物だが、不死ではない貴公には必要だ。取っておくといい」
コブラ「そいつはありがたいが、いいのかい?食べもしないのに持ち歩いているって事は、何かに使っていたって事だろ?」
ビアトリス「人の世にいた頃の、野にいた自分を忘れそうな時に、コレの香りを嗅いで私の源流を思い出すのには使っていた。だが食用であるなら、採るだけの者より食べる者の手にあった方が相応しいだろう?それに稀少な種類という訳でもない。無くなったら、その時はまた採りに来るさ」
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