京太郎「俺はもう逃げない」 赤木「見失うなよ、自分を」
1- 20
136:スレ主 ◆EvBfxcIQ32[saga]
2016/08/30(火) 16:18:03.63 ID:Bg+oYlAv0
「おいおい、こりゃあまた…………。また随分と薄れちまったな…………」


 心が声にならない叫び声を上げそうになったとき、低く重く響く声が、雨の向こうから届いた。

 のろのろと頭を上げると、そこには傘を差した、数日前に俺を「煙っている」と評したおじさんが立っていた。

 相変わらずすさまじい存在感だ。雨のカーテンのせいで視界はそれこそ煙っているが、このおじさんだけは、輪郭がはっきりしているような感じがする。

 俺はただぼうっとおじさんの方を見ていた。


「次のバスは………ああ、あと20分近くもするのか………」


 おじさんは時刻表を見てつぶやく。そして、黙ったままの俺に目を移した。


「兄ちゃん………また何か嫌なことがあったのか?」


 おじさんはすべてお見通しだと言わんばかりの調子で俺に話しかけてきた。


「おじさん………」

「ん?」

「おじさんは…………ずっと後悔しない生き方をしてきたんすよね」

「ああ、そう言ったな」

「悔しいって………、誰か自分より能力のある人がいたとして、その人に嫉妬した事とかって……ありますか?」

「嫉妬か………多分ねぇな。俺は俺だからな。他人とつるむこと自体あんまりなかったし………」

「はは、羨ましいっす…………」


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
660Res/374.36 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice