京太郎「俺はもう逃げない」 赤木「見失うなよ、自分を」
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135:スレ主 ◆EvBfxcIQ32[saga]
2016/08/30(火) 16:15:49.25 ID:Bg+oYlAv0
ザアアアア…………

 夕暮れの綺麗な夢の中と正反対に、土砂降りの雨の音が、俺の意識を呼び戻した。

 少し、意識が飛んでいたらしい。

 今も頭がぼーっとする。


「俺も…………隣で………」


 靄のかかった意識で、半年前のことを思い出す。

 個人戦で負けた後、咲がこっそり俺を元気づけてくれた時の記憶だ。

 あの時俺は、口には出せなかったが、咲の気づかいがすごくうれしかった。

 中学だって、ハンドボールというれっきとした競技をやっていたんだ。

 初心者だからって、負けて悔しくないはずなかった。

 でもおくびに出してみんなの集中を削いじゃいけないと、結局しまい込んでいた。

 咲はそれを見抜いて、こんな俺を格好いいと言ってくれた。

 撫でたり夢を語ったりしてごまかしたけど、あの時俺は、凄くうれしかった。


「かっこわりぃ……………」


 一方、今はこの体たらくだ。

 影でやって来た努力を皆に否定された気持ちになって、麻雀をやめようとしている。


「もう…………いいだろ…………?」


 こうしてる今も、頭の中には形を成さないが、あいつらの顔や一緒に過ごした日々が浮かぶ。

 でも、今の俺にはそれが、あいつらが俺の頭の中に入ってきてまで、俺を引き留めようとしているようで、止めてほしかった。


「まだ…………一緒にいろっていうのかよ…………!」


 一緒にいても辛いだけだ。

 底知れぬみじめさを常に味わされる。

 格好いいなんて、褒め言葉はいらない。もう素直に、辛いことからは逃げ出させてほしかった。



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