京太郎「俺はもう逃げない」 赤木「見失うなよ、自分を」
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13:スレ主 ◆EvBfxcIQ32
2016/08/22(月) 21:20:34.57 ID:B6wfBn3i0
 外はかなり寒かった。
 長野の12月ということで、度々降って溶け残っては新しく前より高く積もった雪が敷き詰められていた、
 異様に濃い灰色の空模様からしても、今夜あたりにもう一度降るだろう。
 携帯を取り出して時間表示を見る。時刻は午後5時前。今日もみんなに付き合って帰れるのは8時を過ぎるだろうから、もしかしたら帰りの時間帯にはもう降り始めているかもしれない。
 そう思うと、胸の中の重しが、さらに心にのしかかってくる気がした。
 どうせ自分は打たせてもらえないのに、なんでわざわざ皆に付き合わなきゃならないのか………。そんな考えが頭の中をよぎり、苛んできた。
 特に竹井先輩。
 あの人がプロ内定をもらってからは、インハイ前のように、また俺の打つ時間が減った。
 ほぼ確定しているが厳密には内定をもらえるかもしれない、という立場なので、何か確定へもっていく材料が必要とのことだった。
 わかりやすい、アマ大会などでの好成績を残せば、文句なしだ。
 竹井先輩は今まで個人戦には興味がないと出てこなかったから、団体戦の戦積しか残していないので、それが一番の材料だった。
『これでやっとあの親から独立できる! これを逃す手はないわ!』
 喜々として内定の内定をもらったと部室に乗り込んできたときは、皆が祝福した。無論俺もだ。
 めでたいとは今でも思う。大事な時期だとは思う。それに没頭してほしいとも思う。
 でも…………
(俺だって、打ちたいっすよ…………)
 気づけば身動きの取れない状態だ。
 何かやりたいことは見えているのに、様々なしがらみが着いて回って、素直にやりたいと口にすることもできない。



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