95: ◆mZYQsYPte.[sage saga]
2016/09/28(水) 07:33:48.71 ID:NBdSDHsho
昼 横須賀基地 将官用の割り当て部屋
女はただ物憂げな表情で天井を見つめていた。
いつもの起床時間をとうに過ぎているのに、布団から出る気も起きない。
寝る前はいつも通り気丈に振る舞えたのに、今は何かスイッチが切れてしまったかのように身体が動かない。
枕元に置いていた携帯は、私を心配する年下の男どもからの着信でうるさいため昨日から電源を落としてある。
何人か扉を叩く者が居た。それも全部無視した。
私の意識と興味関心は、まだ観艦式での出来事にあったから。
「比屋定さん」
ミヅキさん。いいや、あれはクラゲちゃんか?
何故生きている。何故あの時と同じ姿をしている。…………嫌だ。考えたくない。
「……なんで今さら出てくるんだよ」
私は確かに呟いた。
口から飛び出してきた言葉は、自分自身にとっても意外なものだった。
私はこの何十年、比屋定海月という存在を追い求め続けていたのに、何故私は困っている?
『比屋定さんの死の謎を明らかにする』
それは私にとって大切な仲間である比屋定さんとの絆のために。
比屋定さんと、自分自身の誇りのために。
比屋定さんと私が居た、私が大好きな海軍という組織における、私が信じ守るべき秩序のために。
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