86: ◆mZYQsYPte.[sage saga]
2016/09/28(水) 06:56:56.68 ID:NBdSDHsho
「こんにちは売春婦さん」
ビスマルク「……は?」
海兵「」ピクッ
誰もが聞き間違えだと思った。
艦娘の目の前に立っている背の低い娘の口から、そのような言葉が出てくるはずがないと。
「あら、おかしかったかしら? 金で自分の身体を売る存在を、この世界では売春婦と呼ぶんじゃなくて?」
ビスマルク「……聞き間違えでは無かったようね」
「いえ、売春婦のほうが艦娘なんて賤業より健全ね。だって、艦娘よりは尊敬できるんですもの」
海兵「ちょっと、お嬢さんピギュッ」
列整理の海兵から出た奇声は自らの意志によるものではない。
殴り飛ばされ、壁にめり込んだことにより肺が潰れてそのような音が出たのだ。
ビスマルク「っ!!!」
「うるさいわねぇ。今話してるんだから邪魔しないでよ」
ビスマルク(今、この子が殴ったの……?)
グラーフ「ビスマルク、どう……!?」
隣の雰囲気は、諍いを起こしていると言うには度を超えていた。
グラーフ(それだけじゃない。保安要員が武装している)
並ぶ一般人の列の中に『艦への侵入者』を無力化するため用意された、近接武器を装備した海兵が数多く紛れていた。
海兵C「C班、対象を後部デッキにて確認、応援を求む」ボソボソ
ナンダナンダ ドウシタンダ ザワザワ ナニカアッタノ ガヤガヤ
グラーフ(……この子には何かある)
ビスマルク「艦娘として戦うことが賤業だと言いたいの」
「いいえ。戦うことは素晴らしいことよ」
「でも艦娘は戦うことをせず、他人を巻き込んで下らないものを押し付けているだけじゃない」
ビスマルク「取り消しなさい! それは単なる侮辱では済まされないわよ!」
「歌って踊って握手会。戦ってないじゃない」
ビスマルク「……」
「戦った経験なんて無いんでしょ」
戦った経験が無い。
実戦経験が無いことは、ない。
無いなんてことはない。
例え定期便のようにやって来る敵の偵察部隊だけだとしても、私たちは命懸けで戦っている。
昔の世代の艦娘たちに比べれば全く戦っていないように見えたとしても、戦い自体は存在する。
225Res/193.88 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20