71: ◆mZYQsYPte.[sage saga]
2016/09/12(月) 01:58:27.27 ID:5JwIXqGBo
グラーフ「もしもし、聞こえるかビスマルク」
ビスマルク「……なによ」
私の向かいに居る彼女が、個別回線を繋いできた。
グラーフ「ん? まだヘソを曲げているのか」クスクス
ビスマルク「うるさいわね。演習のために移動するわよ。通信終了!」
グラーフ「いい心持ちじゃないか?」
ビスマルク「は?」
グラーフ「さっきので私たちの提督は、私たちに色目を使う軟弱者でなし、無能でもないと。それがハッキリ分かった」
ビスマルク「どうしたの急に」
グラーフ「ああ、薄々感づいてはいたが……まぁ、私は認めたくなかったんだよ」
ビスマルク「はぁ?」
グラーフ「あの女性は信頼に足る、好ましい上官だという事実、をな」
ビスマルク「……それで良いの。私たちは信じるものを貶められたのよ」
グラーフ「着任してから様子をつぶさに観察していたが、彼女の事務処理能力は並ではない」
グラーフ「何十年も務めたベテランのような捌き方だ。執務室の個別秘匿回線、海軍省の方にもかなり顔が利くらしい」
グラーフ「顔が利くということは、それなりのモノを持っていなければ不可能だろう」
グラーフ「そして今日、私の緊張まで見抜かれて。その改善までされた。私はもう、言葉が無い」
確かに先程まであった緊張による鼓動の高鳴りは収まりつつあった。
ビスマルク「こんな状況で歌いたくなるなんて。貴女も案外、単純で子供じみたところがあるのね」
でも認めたくないので少し意地悪をしてみる。
グラーフ「自分なりに考えてはいるんだがな。そう見えるかもしれない」
見事に直撃するも、受け流された。
グラーフ「だが、事実を無視し一方的に決めつけ、片意地を張ってひたすら謝罪を受け取らないのも、子供っぽいことだと思う」
……。
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