77: ◆TPk5R1h7Ng[saga]
2016/07/20(水) 22:49:52.40 ID:G8Avh2PSo
父「私でも…お前でも駄目なのか………」
母「あの子でさえ…あの子でさえ無いのなら。私だったら、幾らでも……」
父「どうする……どうすれば良いんだ!!」
母「然るべき手段を取る…しか無いでしょう。申請はまた明日にでも…」
父「だが…それでは……家も失って、財産も残らずに……あの子にも、苦しい生活をさせる事に…いや、下手すれば…」
母「それだけは…それだけは絶対に避けますから!!」
父「どうやってだ!?どうすれば………どうするのが一番良いんだ!」
母「だったら…あの子に聞いてみましょうよ」
父「あぁ……そうだな…それが一番だな。あの子自身が決めるのが一番だな」
その日…いつもと違ったのは、両親の会話だけでは終わらなかった事です。
ドアをノックする音の後…両親は、私の部屋へと入って来ました。
父「こんな時間にすまないな…起きているかい」
私「………うん」
母「ごめんなさいね…毎晩毎晩、うるさかったでしょう?」
私「ううん、そんな事無いよ」
母「そう…ありがとう」
父「その…何だ…もしかしたら知ってるかも知れないんだが…今、父さんと母さんは凄く困ってるんだ」
私「知ってる…友達の借金とか、会社の事だよね?」
父「あぁ、そうだ。それで……な。ある人が、父さん達に融資をしてくれるって言ってくれてるんだ」
私「……あのお髭の人?私…何をすれば良いの?」
母「――――ッ……」
父「移植手術…って知ってるかい?あぁ、いや……それは今言う事じゃ無いか」
私「…………」
父「なぁ、ハル……お前は、父さんや母さんと離れ離れになるのは嫌か?」
虚ろな……今にも壊れてしまいそうな震えた瞳で、父は私に聞きました。
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