14: ◆TPk5R1h7Ng[saga]
2016/06/19(日) 23:30:58.58 ID:qA82S3wZo
●てんしん
眼前に広がるのは、虚獣の身体に空いた風穴。
巨体から体積を削り取った証の、その向こう側で………ハルが両手を広げていた。
俺「色んな意味で、無茶してくれるなぁ……んでも、助かったぜ」
ハル「ちょっと手荒な方法になってしまいましたけど…あの場を何とかするためには、仕方が無かったので」
落下する俺の身体を、ハルが抱き留め…そのまま二人で、頭上の虚獣を見上げる。
虚獣は欠損した部位を残った質量で補い…空いた穴が塞がった後の全長は、最初の半分程まで減少。
成果だけを見れば、残りは単純計算で8分の1。かなりの体積を消耗させたと言えなくも無いのだが……
ディメンションスレイヤーで削り取る事が出来た量は、余り多くは無く。実質上は、ユズとハルによる功績が殆ど。
しかも…本来は温存しておくべきだった筈の、ハルの閃光魔法を使ってしまった上でのこの状態。
残り少ない攻撃手段を費やし、止めを刺さなければいけないこの場面にありながらも…
俺は、ディメンションスレイヤーを振るう事が出来ない。
どうしようもない無力感に苛まれる中……俺とハルの隣に、カライモンが現れ…
カライモン「そう考える気持ちも判らないでは無いが…落ち着いて自分の身体を見てみ給え」
その口から、これまた不可解な言葉が飛び出した。
俺「いや…今更こんな惨状を見てどうしろって言うんだよ!こんな状態で、俺にどうしろって………ん?」
カライモンの言葉に苛立ちながら、振り払うように手を伸ばす俺。
だが…その行動を起こした事で、ある事に気付いた。
俺「あれ…?俺、今……手が…」
カライモン「やっと気付いたかね?キミの身体はもう元通りだ。これで何も問題はあるまい?」
そう………どんな手を使ったのかは判らないんだが…虚獣の攻撃により失われた筈の腕と両足は、元に戻っていた。
226Res/301.37 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20