28:宥咲
2016/08/24(水) 22:42:38.93 ID:zOosj66d0
彼女を元気付けてあげたい……でも、決勝で戦う相手だから……悩みました。
でも……会場ではあんなに考えていたのに、外で帰ろうとしている彼女を見るとそんな悩みは吹き飛んでしまいました。
駆け寄って声をかけてみると、見て分かるほど落ち込んでいるけれど、頑張って毅然としている姿がありました。
それは私の好きな雪割草と似ていました。早春のまだ雪が残っている頃に、雪をかき分けて咲く花。
寒がりの私に春を告げてくれる、幸せの花。
あの花と同じようにこんな時は、温かくしてしまうと逆効果になってしまいます。
だからいつも励ます言葉をかけてるんです。頑張れー、って。
帰ろうとしたら、疑問を投げかけられました。どうして戦う相手の私に、って。
とっさには答えられませんでした。自分でも分からなかったからです。
どうして私はこんなに彼女のことを気にするんだろう。
きっとすぐには分からないのだと思って、でも嘘はつきたくなくて、笑顔が見たいからだって答えました。
本当の理由じゃなくても、これは嘘じゃないって言えます。
一番初めに二回戦の試合を見た時。予選のビデオを見た時。あの笑顔に惹かれたのは間違いのないことだから。
ホテルに帰って寝るまでの間、疑問の答えをずっと考えていました。
ベッドに入ってからは彼女の事や決勝戦への緊張、期待が渦を巻いてなかなか眠れませんでした。
夜中のある瞬間、全部の問題が解決したような、全身を駆け巡るひらめきがありました。
でもその答えが出たことに安心したのか、直後には眠りに落ちて、そのひらめきを忘れてしまいました。
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