29:宥咲
2016/08/24(水) 22:44:05.37 ID:zOosj66d0
決勝戦、先鋒戦が終わって玄ちゃんと入れ違いに対局室に入ろうとしたところで、照ちゃんと会いました。
私を待ってたみたいで、対局室の外でじっとこちらを見ていました。
私から声を掛けると、今日ははっきりと分かりました。
笑みを隠しても隠しきれないといった雰囲気で、目も口も柔らかく、会ってきた、とだけ言って帰っていきました。
仲直りしたんだってすぐに分かりました。そうしたら不思議と身体じゅうがぽかぽかとあたたかくなってきました。
次鋒戦の対局ではとっても調子が良くて、皆が安心して戦えるぐらいに頑張れました。
そして中堅、副将と皆頑張って穏乃ちゃんにバトンを渡して大一番に挑戦しました。
彼女には頑張ってほしいけど、今は穏乃ちゃんを応援しよう……そう決めていたのですが……。
彼女をテレビ越しに一目見たら呆然としました。
今まで見たどんな光よりも輝いていて、どの花よりも美しく、何よりも綺麗な彼女でした。
神話に語られる女神様みたいで、全身が沸騰するんじゃないかと思うぐらい熱くなって、彼女から目が離せませんでした。
憧ちゃんたちと一緒に穏乃ちゃんを応援しているのに、応援したいのに……
顔が映る度に、声を聞くだけで、生きている実感がなくなるほど彼女で埋め尽くされてしまいました。
休憩中も画面から目を離せなくて、玄ちゃんたちを心配させてしまいました。
後半戦もずっと、局が進むのが嫌だと思うくらいずっと、見ていました。
大星さんの支配にもネリーさんの和了りにも動じない彼女。
ついに穏乃ちゃんの山も春の芽吹きで満たしてしまうほどになりました。
……そしてオーラス、彼女が上がった時に暖かい風が吹いてぱあっと花があふれて……
よく極楽浄土という場所の話を聞きましたけど、そういう世界に来た気分でした。
そして思い出しました。彼女を気にかける理由。この、とめどもなくあったかくて、胸に冷たい痛みを覚える気持ちの意味。
これが恋、だったのです。
109Res/48.01 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20