26:宥咲
2016/08/24(水) 22:39:51.45 ID:zOosj66d0
私たちの準決勝が終わると、急いで白糸台の控室を探しました。
やみ雲に走り回っていたら、売店で見つけました。彼女のお姉さん、宮永照さん。
呼びかけた時もお話がしたいって言った時も、ずっと感情の読めない顔でした。
でも彼女の名前を出したら、表情は変わらないのに雰囲気ががらりと変わりました。
彼女の方から場所を変えようって言われて、人のいないビルの屋上に行きました。
照さんは何も喋りませんでした。ただ眼を鋭くして、私を観察するように見ていました。
その空気に飲まれそうになりました。けれど精一杯がんばって、お話しました。
最初に彼女との関係、それから彼女に聞いた話を。そしてそれを私がどうしたいのか。
照さんは話し始めた私の眼を見つめたまま、最後まで黙っていました。
そして話し終わると、少しの間冷たい空気が漂いました。あたたかい空の下で。
照さんの目が少し穏やかになった気がしました。それから周りが暖かくなりました。
照さんが少しずつお話を聞かせてくれました。昔の話、彼女との、彼女の知らないお話。
聞くうちに、彼女の話していた内容と違う所が出てきました。
どちらが正しいのかは分かりません。でも、彼女の話よりも照さんの話を信じたいと思いました。
だって、その方があったかくて、彼女が救われるから。
誰も悲しくなることなんてしてないし、離れていてもお姉ちゃんはちゃんと妹の事を大事に想っている。
そうでないといけないし、彼女が一方的に悪いお話なんて信じたくない。
身勝手かもしれないけど、そう思います。
109Res/48.01 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20