八幡「やはり俺のアイドルプロデュースはまちがっている。」凛「またね」
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◆iX3BLKpVR6
[saga]
2016/09/12(月) 03:39:34.37 ID:I3XVCApU0
八幡「……でも、確かにそうですね」
文香「え……?」
八幡「あまり深く考えた事は無かったですけど、創作に限って言えば、俺はそういう奇麗事並べた物語が好きかもしれません」
現実では信じられないような関係も、苛立ちしか覚えないキャラクターも、創作の中でなら別だ。
根っからのお人好しの主人公。可愛い上に優しいヒロイン。決して裏切らない仲間。友情、努力、勝利。そしてお涙頂戴のハッピーエンド。
創作の中でありふれたそれは、しかし現実で見れば何と嘘くさい事か。
きっと俺は信じれない。そんなものが目の前に現れたところで、似通ったものが存在した所で、俺はそれを受け入れられる気がしない。
だって、俺がいるのは現実だから。
現実だから、そんなものは無いと、嫌になるくらい俺は知っている。
……けど、創作の中では別だ。
例えそれが誰かの空想から作られたものでも、誰かの願望から生まれた偽物だったとしても、だからこそ、そこに嘘は決して無い。
創作の中に生きる彼らは、そこで言ったものが本心で、そこに映っているものが、全てだから。
だからきっと、そんな彼らを見て、俺たちは思いを馳せるんだ。
八幡「創作だからこそ、その中にあるものは本物……なんて言ったら大袈裟ですけど、俺はそう思ってます。現実逃避って言われたら何も言い返せませんけどね」
文香「……そんな事は、言いませんよ。とても、素敵だと思います」
微笑む鷺沢さんに、何だか無性に恥ずかしくなってくる。何で俺はこんなこと言ってんだ? もしかして共通の趣味を持っているのにテンション上がってたのは俺だったか……
文香「私も、たまに物語の中に入り込むような、そんな不思議な気持ちになる事があります……」
八幡「………」
文香「だから、それを逃避だなんて……そんな風に言うつもりはありませんよ」
また、そうして笑う。
揺れる前髪から除く蒼い瞳は、まるで吸い込まれるかのような魅力があった。
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