268:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/26(月) 02:33:22.65 ID:znhwGlXXo
「ハートアンダーブレードの眷属よ」
・ ・ ・ ・ ・ ・
言いながら、彼の姿がかすみ始める。
目の錯覚かと思ったがそういうわけではなく、ドラマツルギーの身体は、夜の闇に溶け始めていた。
変身能力。
曰く、吸血鬼は身体を霧に変化できる。
「最後にもう一度だけ確認させてくれ。お前は、人間に戻るのだよな?」
「ええ。ぼくは人間ですからね」
ドラマツルギーは完全に姿を消したが、声だけはグラウンドにまだ響く。
「それを聞いて、安心した」
闇の中から聞こえる声は、最後に自分の意見を曲げた。
「お前は、もう、我々吸血鬼としても困る存在になってきたからな。早く人間に戻ってくれ」
「………………」
もう、気配すらしない。最後に捨て台詞をはいて、同族殺しの吸血鬼は、ヴァンパイアハンターの
プロフェッショナルは、夜の闇に消えていった。いや、あれは彼なりの激励だったのかもしれない。
そう思うほうが精神衛生上いい。
「はあ、まさか初デートで、告白もしてないのに振られるとはな」
ふざけて言ってみた。
虚しいだけだった。
284Res/217.62 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20