254:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/26(月) 02:08:14.38 ID:znhwGlXXo
そうだ。相手は吸血鬼だ。両腕を、そのまま剣にしてしまうような、埒外の存在だ。
そして、ぼくも吸血鬼。斬られても斬られても復活するような、そんな規格外。
「ならば、あなたにできてぼくにできない道理はない」
イメージする。ぼくの両腕は剣だ。ぼくの両腕は剣になる。いや、違う。元からぼくの
腕は剣だった。ぼくの両腕は剣。剣。剣。剣。剣剣剣剣剣けんけんけんけんけんけん――――。
「……ふぅ」
ぼくの両腕は、剣となった。長い、ドラマツルギーとの身長差、体格差をも凌駕しうる長い西洋剣。
そうだ。ぼくは、化け物。
この程度、できて当たり前になってしまったんだ。
そんなぼくの姿を見て「ほう、さすが、呑み込みが早い」と、ドラマツルギーは笑った。
「ずいぶんとまた余裕ですね。リーチ差はこれでなくなったというのに」
「ああ、たしかにそうだ。これでお前と私の条件は五分となった。いや、お前の得物のほうが長いか?」
それでも、ドラマツルギーは笑っている。
「……いやいや、馬鹿にしているわけではない。本当に、その速さで変身能力を身に着けるとは、
驚嘆に値する。やはり、私の見立て通り、お前は吸血鬼としては天才的だ。だが……」
と、ドラマツルギーは笑みを消して、真剣なまなざしでこちらを見る。
「お前がナンバーワンになるのはいずれ、私を超えるまでになるのはまだずっと先だ。
その程度で、私に勝てるなどと甘い考えを持たれるのは、不快だな」
ぎろり、とより強い殺意がその目に宿る。
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