モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part13
1- 20
7: ◆GPqSPFyVMNeP[sage]
2016/05/07(土) 09:52:55.03 ID:AfaEDJBVO

 人の群れをかき分けてようやく見つけたカースは既にそれなり以上に成長しており、対処する間に別のカースがそれなり以上に育つ……地獄への螺旋階段めいた負のスパイラルだ。
 全日程が終わった後、疲労困憊・満身創痍のゾンビーと化した男性アイドルヒーロー達は、死んだマグロの目で言葉少なに安ビールを呷るだけであったという。

(……うん、やっぱりイベントは楽しまなくっちゃ!)

 洋子は己の頬を二度三度と張り、キアイを入れ直す。今日の仕事は会場警備と、状況次第でステージ。
 会場警備。黒衣Pによればロクな仕事ではないようだが、自分の仕事を、その場所を、クソだと思うほど洋子は荒んでいるつもりはない。

「ハイーッ!」

 鋭いシャウト。先ほどの藍色より二回りほど大きな桃色を、朱色の大きな手が引きちぎり、焼き滅ぼした。

「これで51です。茂みの中にはピンク、プロデューサーの言ってた通り」

 言い終えぬうち、彼方よりの飛翔体が二つ茂みに飛び込み、ゴッと鈍い音、そして呻き声めいた小さな悲鳴も二つずつ聞こえた。暴徒鎮圧用重ゴム弾の狙撃だ。

《余計な手間かけさせやがる、浮かれクソイディオットども》

 上機嫌が嘘のように乾ききったエボニーコロモの呪詛に、洋子は何とも答えなかった。それよりも重要な問題に気付いたからだ。

「プロデューサー、今のカース、ちょっと大きかったような」

《アホどもが愛情たっぷり注いで育てやがったからな》

 黒衣Pが辛辣な理由は分かるし、概ね同意できるものでもあるが……洋子はムムと唸りながら、人差し指で頬を掻いた。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
558Res/632.57 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice